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2023.08.01
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WebXカンファレンス2日目 イベントレポート「Web3マスアダプションの鍵となるのは何か?」

2023年7月25日、26日の両日、東京国際フォーラムにて開催されたアジア最大級のWeb3カンファレンス「WebX」。Web3について熱いトークが繰り広げられたこのイベントでは、最新技術をいかにして普及させるのか、マスアダプションをテーマにしたセッションも行われました。 ここでは、株式会社Ginco CEOの森川夢佑斗氏をモデレーターに、GREE株式会社上級執行役員の荒木英士氏、株式会社NTT Digital取締役の遠藤英輔氏、株式会社メルコインCEOの中村奎汰氏といった業界をリードする企業のリーダーが語ったマスアダプションに向けての展望について報告します。

Web3のマスアダプション、その時期は?

モデレーターの森川氏が代表を務めるGincoは2017年12月の設立以来、暗号資産やNFTをはじめとするデジタルアセットを活用したWeb3事業創出を支援するクラウドプラットフォームづくりに取り組んできたという実績を持っています。そうした事業に携わっていて感じるのは「規制面をはじめ、日本でWeb3事業をスタートさせる環境が整ってきた」ということだといいます。

「ここ数年、スタートアップだけでなく、日本を代表する大企業がWeb3への進出を表明して、実際に事業をスタートさせています」(森川氏)

事業環境が整備されたことに加え、各企業が自己努力でWeb3のビジネスをつくりつつある。マスアダプションに向けて、大きく前進している感のある日本のWeb3。本セッションでは、ゲーム、インフラ、暗号資産取引などに取り組む各企業のリーダーにそれぞれの事業の現在や未来予測を語ってもらいました。

ゲーム会社のGREEでWeb3とメタバース事業を牽引する立場にある荒木氏は、Web3をいかにマスアダプションしていくかについては「時が解決するのではないかと思っています」と話します。

「身も蓋もない話のようですが、これはけっこう真面目な話で、過去の例から見ても新しいテクノロジーというものは、それが生まれて、社会に浸透し、社会を変えていくには思った以上に時間がかかるものだということがわかっています。

インターネットが研究所で開発されたのは1980年代前半でした。一般ユーザーが使うようになったのは90年代の半ばから。でも最初は一部の人のもので、本当の意味でみんなの手元に来て、社会生活のかなりの部分を担うようになるにはさらに15年ほどかかりました。

Web3もこれと同じように、現在は技術が着々と進化しているなか、大勢の優秀な方々がそれぞれの分野で課題を解決しています。この動きがとまらなければ、必ずマスアダプションされるでしょう。当社はゲーム会社ですから、アプリケーションレイヤーとしてマスアダプションを前提に長期的なWeb3の活用ができるように、そんなゲームやシステムをつくっていこうとしているところです」(荒木氏)

具体的にWeb3がマスアダプションされるとゲームはどう変化するのでしょうか。

「ゲームというエンタテイメントはテクノロジーの影響をすごく受けるものです。5年、10年に一度は大きな技術変化が起きて、ビジネスモデルそのものが変革していきます。昔でいうとファミコンが普及して、そのあとは携帯電話でゲームができるようになって、ここ10年、20年の流れを見ると、オンラインゲームというものが登場して、人とつながりながらゲームをプレーするという楽しみが生まれました。またスマホのゲームの多くは基本プレイは無料でアイテム課金というモデルができて、これまでお金をかけて買わなきゃいけなかったゲームが基本プレイだけならただで遊べるようになりました。これがWeb3になるとどうなるかというと、ゲームをするのに払ったお金が戻ってくるようなゲームが生まれる可能性があります。Web3がマスアダプション化した世の中ではこんなふうに新しいゲーム市場が生まれるでしょうし、それは不可逆の変化だろうと思っています」(荒木氏)

Web3の普及は既存サービスの裏側から

いっぽうでWeb3のマスアダプションにはインフラの整備が欠かせない。その役割をNTTグループのなかで担っているのが設立されたばかりのNTT Digitalです。遠藤氏はまず「ウォレットという切り口からインフラを構築していきたいと考えています」といいます。

「個人的に期待しているのはトークンが持つ力です。いわゆるトークンエコノミーといわれるものが、これまで経済合理性の外にあったような課題を解くひとつの鍵になりのではないかと思っています」(遠藤氏)

トークンエコノミーの実現に欠かせないのがWeb3のマスアダプション化です。これについては遠藤氏も荒木氏同様、「それなりに時間がかかる」と見ています。大切なのは、たとえ時間がかかっても「しっかりしたものを作っていく」ことだと語ります。

「Web3がお客様の日々の生活の中に入っていくとき、おそらくそれほど突飛なユースケースは出てこないだろうと考えています。すでに認められている価値やサービスはそのまま残り、しかしその裏側はブロックチェーンになることでシステムが変わっていく。そのような形でマスアダプションが成立していくのではないでしょうか。もちろん、こうしたことは弊社だけで実現できるものではなく、パートナーの皆様との協力が不可欠です」(遠藤氏)

Web3のような新しい世界をつくるときは「本当にこのままやっていていいのかと途中で不安になることもある」と遠藤氏。そんなときに不安を打ち消してくれるのは「価値をお互いに認め合う仲間」の存在だといいます。

「今日、この会場にお集まりの皆様もその仲間なのかなと思っています」(遠藤氏)

Web3の活用、メルカリが出した答えは

一般の消費者にも馴染みが深いメルカリ。現在、メルカリグループ内のメルコインで暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画や開発を行っている中村氏は、「実はメルカリでは2017年頃からブロックチェーンの研究を行なってきました」と明かします。

もしブロックチェーンが世の中で活用されるようになった場合、どうなるか。そこで出てきた答は「(プラットフォームとしての)メルカリは淘汰されてしまうのではないか」という衝撃的なものでした。

淘汰されないようにするにはどうすればいいのか。以来、メルカリではWeb3バージョンのメルカリやBtoBのサービスなどを研究、開発、検討し、現在のエクスチェンジ事業にたどり着いたといいます。

「結果、メルコインが創り出したのは、メルカリアプリのなかでビットコインを買うという世界観でした」(中村氏)

誰でも使えるメルカリのアプリのなかで暗号資産(ビットコイン)取引が簡単にできる。これはそれまで暗号資産取引を知らなかったユーザーにとっては画期的な出来事でした。

「2023年6月現在でメルコインのユーザーは50万人を突破しました。そのうち約8割の方はそれまでまったく暗号資産に触れたことがなかった方々です。多くの方に、こんなに簡単だったのか、と暗号資産取引の面白さを感じていただいているところです」(中村氏)

中村氏は「Web3とWeb2、どちらが良いとか悪いとかという話ではない」と話します。

「この先、ネットの最終状態がどうなっていくかというと、Web3もあればWeb2も残っているという状態になると思います。お客様はそのときのユースケーッスに合わせて、両方を使うこととなります。メルカリのような人々のライフサイクルやライフステージに合わせて使われるサービスは、Web3とWeb2の行き来を簡単にできる仕組みをつくることが大事です。Web3をマスアダプションしていくにはそうした試みが不可欠だと考えています」(中村氏)

Web3がもたらすメリット

Web3のような新しい技術はユーザーにどんな利益をもたらすのか。荒木氏はゲームにおけるWeb3の可能性に言及します。

「エンドユーザーの観点からいうと、実はいまの時代というのは新しいゲームを始めることに対してハードルが高い状況にあります。その原因となっているのが、基本プレイ無料でアイテム課金型という現在のモバイルゲームの形です。ユーザーにとっては、ゲームにお金と時間を投入することで、ゲーム内のキャラクターが育っていく、街が大きくなっていく、レベルが上がっていくという喜びがあります。いわばゲームの中に自分の努力の結晶が溜まっていくわけです。だからこそ、早々に捨てることができない。他の新しいゲームに乗り換えることができないわけです。

これは作り手側にすれば、新しいゲームをリリースしても遊んでもらえないということになります。それがWeb3になるとなにができるようになるかというと、この新しいゲームへの移行が簡単にできるようになるのです。Web3の技術を用いれば、それまで遊んでいたゲームのアセットを売って、そのお金で新しいゲームを始めることができるようになります。そうなれば新しいゲームを始めるハードルも低くなるし、作る側も新しいゲームをローンチし続けることができる。両者にとって良いことなのではないかなと思っています」(荒木氏)

ユーザーと作り手が、両者にメリットがもたらされるゲーム業界。もう少し広い目で見て、Web3がマスアダプションされることによって一般消費者が得られるメリットとは何か。遠藤氏がインフラ業界の立場から語ってくれました。

「少し抽象的な言い方になるかもしれませんが、これまでの事業というのは企業がモノを作って売って、消費者はそれを買うという二項対立が基本でした。それがWeb3がマスアダプションするとボーダーを超えてのやりとりが発生していくような気がします。一般消費者は消費をするだけでなく企業を応援していく、逆に企業は一般消費者の皆様のアイディアを企業活動に反映させていく、そういう動きが活発化していくような印象があります。これがWeb3のひとつの面白さではないでしょうか」(遠藤氏)

Web2を利用したサービスのなかで、大きく成長したのがさまざまなポイントサービスです。しかし、現状のポイントやマイレージは利用したり交換したりするのにいろいろな制約や条件が存在します。森川氏は「これがブロックチェーンのインフラに置き換えられたら即時交換が可能になるなど利便性が増す」と見ています。

「ポイント機能などにはそれを運営する企業にとっては顧客の囲い込みなどの戦略も含まれていると思いますが、ブロックチェーンやWeb3がマスアダプションされることで、そうした企業の思想も変えていく必要に迫られると思います」(森川氏)

Web3のマスアダプションを実現するにはそれぞれの領域を担う事業者が新たなユースケースを見出し、最適化されたアプリケーションやユーザーインターフェースを開発していく必要があります。ひとつひとつのピースが揃うことでWeb3のマスアダプションは達成される、と各氏は話します。

「今日、こうして実際に皆さんの話を聞いていると課題は明確ですし、解決していくのは本当に時間の問題だと感じました。この先はマスアダプションは実現するという前提のもと、その先にある事業の成長やそれに必要なマーケティングについてもどんどんフォーカスしていきたいと思います。Web3については、今年は活火山みたいな状況のなかでいろいろなプロジェクトが動いているところです。来年は日本において本格的にWeb3が普及する。今日はそれを強く感じることができました」(森川氏)

普及には時間を要するといわれる最新技術ですが、Web3の足音はすぐそこまで迫ってきています。Web2による既存のプラットフォームのサービスを使いながら、気がつけばWeb3の恩恵を受けている。そんな時代の到来を予感させるセッションでした。

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EDITOR / HIROKI TAKAHASHI

1982年生まれ、金融経済新聞社にて編集記者として記事執筆やラジオNIKKEIでのマーケットアドバイザー業務などを経験。その後、コンサルティングファームにて経験を積んだのちに独立。2023年、レアゾンホールディングスにジョイン。

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1982年生まれ、金融経済新聞社にて編集記者として記事執筆やラジオNIKKEIでのマーケットアドバイザー業務などを経験。その後、コンサルティングファームにて経験を積んだのちに独立。2023年、レアゾンホールディングスにジョイン。

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