「佐久間宣行のNOBROCK TV」大人気企画「罵倒シリーズ」がチャンネルから飛び出した。リアル店舗「罵倒カフェ」の研修に参加してみた!
9月14日より、佐久間宣行のNOBROCK TVで大人気の「罵倒シリーズ」から罵倒カフェ『OMOKENASHI』が渋谷パルコの6F、GG Shibuya mobile esports cafe&barにオープンした。14日~23日までの10日間のポップアップである。 最近では、日本一接客が悪いレストレランが盛況になるなど、“態度の悪い”カフェが流行っていることもあるため、リアル店舗を作ることにはさほど驚きはなかったが、私の興味を引いたのは「罵倒ガールたちが本気で“研修”をしている」という実態であった。 ていうかそもそも、「罵倒」に研修って必要なのか?笑 動画の中では、ギャルのみりちゃむさんがお笑い芸人錦鯉の渡辺さんに対して、「豚脂」という見事なあだ名を残したり、その他にもキレのいい発言を繰り広げているわけだが、たしかにこれはみりちゃむさんの元来の頭の切れや、空気を読む力に依存している気がする。では、この「罵倒」という一種の芸事に、再現性はあるのか?みりちゃむさんの才能や力量に依存しているとすれば、再現性が低い。 とすると、それを再現するために、罵倒ガールたちは、みりちゃむ先生から学ばなければならない。そう考えると、確かに「罵倒の研修」は必要な気もしてくる… まぁ百聞は一見に如かずということで、「罵倒ガールたちの研修」に潜入してみた。
INDEX
罵倒ガールの「研修」に潜入してみた
9月13日10時、我々取材班は渋谷パルコ6階に集合した。エレベーターを降りて任天堂の直営オフィシャルショップを超えたところに、GG Shibuya mobile esports cafe&barはある。ここは、いつもは大型eスポーツパブリックビューイングカフェなのだが、期間限定でいろいろなポップアップを行っており、今回、NOBROCK TVチームが「罵倒カフェのリアル店舗」のために10日間貸し切ったというわけである。
まだ施工が完了していない店内に入ると、職人さんたちがピンク色の物体を重そうに持ち上げていた。
「これなんですか?」と聞くと、若い職人さんの一人が「『ぶたあぶら…です』」と自信なさげに答えてくれた。
「あぁこれが例の『豚脂』ですか」
「はい、この『豚油』を立てて、回転するようにするんですよ」
すごい金のかけ方であるが、さすがそこは220万登録者数を誇るNOBROCK TVである。
10時30分ぐらいからだろうか。
続々と罵倒ガールたちが到着しだした。全部でおよそ20名。見た目は、みりちゃむさんのようなギャルギャルしいギャルはあまりいない印象だったが、系統が統一されているわけではなく、むしろバラエティに富んでいる。罵倒している姿が想像できないような方もいれば、職業柄罵倒することが多そうな方もいた。
11時になると、NOBROCK TVの担当者の号令で、研修が始まった。
急に仕事モードになる罵倒ガールたち。まずは飲食店として、オペレーションがグダグダになってしまうのは避けるべきということで、スマホでの注文受付の仕方を叩きこまれている。
罵倒しつつも、ちゃんと飲食店としてのサービスレベルは担保しないといけないのが難しいところだ。スマホでの注文受付や、実際の食事の配膳など、慣れない業務に必死に立ち向かっている罵倒ガールたちは健気に見えた。
が、それが終わるといよいよ「罵倒」の練習である。
20人の罵倒ガールたちは、およそ10人ずつのチームになり「お客さん役」と「罵倒ガール役」になった。
NOBROCK TVの担当者が「はい、お客さん入りまーす」とお客さん側のガールたちを向かい入れる。
すると、先ほど健気にスマホで注文を打つ練習をしていたガールたちが大声を出し始めた。
「おい、こっちだよバカ!」
「ちんたらしてんなよコラ!」
いや、研修なんだけど、本気の声量である。思わず取材陣や関係者から「おぉ!」と声が漏れる。
「これすごいっすね」
「いや、ガールたち本気っすね」
驚きながらメモや写真を撮る我々を横目に、目を光らせる一人の女性がいた。
あの人だれだろう?
罵倒ガールたちのチームビルディングを専門家に依頼する本気っぷり
担当者に「あの女性、誰ですか?」と聞くと、「チームビルディングの専門家の久保内晶子さんです」という答えが返ってきた。どういうことだろう? と思い私はその女性に声をかけてみた。
「罵倒ガールたちのチームビルディングを行っているって聞いたんですけど、本当ですか?」
女性は快活に答える。
「本当ですよ笑、年齢も違い、もともと友達でも知り合いでもない女の子が20人以上集まるわけですから、チームとして企画を成功させるのってすごく難しいんですよ」
NOBROCK TV恐るべしである。
「というか、高橋さんもお客さん役になってもらいたいんですけど」
「え? いや、僕は取材があるんで・・」
「何言ってるんですか。実際に経験することが最高の取材じゃないですか!」
「…えー」
ということで、私ともう一人の取材班がお客さん役として参加することになった。拒否権はなかった。二人とも42歳で、奇しくも錦鯉の渡辺さんと同年代。
私たちは、促されるままにお客さん役になった。
「おら、早く歩けよお前ら!」
担当してくれた罵倒ガールにそう叫ばれ、我々はすごすごと席に座った。
「メニューなんだよ。早く頼めよっ!」
私はメニューの中でパッと目についた「おっぱいケーキ」を頼んだ。
渡辺さんが動画内で鼻に突っ込んでみりちゃむさんに「気持ち悪い」と罵倒されていたアポロチョコに似たチョコが乗ったケーキだった。「声がちいせぇんだよ!」としっかり罵倒され、「おっぱいケーキください!!」と何度か大声で連呼させられた。最後には罵倒ガールから「よしよし、よくできました」と言われ安堵する。
なお、罵倒カフェには「あだ名をつける」というオプションサービスがある。
私は隣のおじさんを指さし、「この人にあだ名をつけてもらっていいですか?」と言ってみた。本来1000円かかるオプションだが、ここは職権乱用。罵倒ガールは、私の隣のおじさんの顔と体を嘗め回すように見て、一言こう言った。
「破裂寸前クソメガネ」
我々の周囲5メートルぐらいが大爆笑に包まれた。言われたおじさんも爆笑している。
これは確かにエンタメである。
私は、罵倒カフェの本質をこのときはじめて理解したのだと思う。
罵倒ガールたちにインタビューしてみた
罵倒ガールたちはさまざまである。オーディションでは113名の応募があり、そこから28人に絞られた。その中で、今回は3名に話を聞いた。
1:ナギノエナさん
子役時代から長く芸能活動を続けてきたナギノさん、現在は舞台出演、バンド活動、声優のお仕事などに邁進している日々だという。
なんで罵倒ガールに応募したのですか?
ナギノは、声優の養成所に通っているんですけど、同時にいろいろなオーディションを受けたいと思って探していたんですよね。それで、ある日インスタを見てたら、ストーリーに罵倒カフェの広告が流れてきたんです。NOBROCK TVは前から知っていて、何でもかんでもエンタメに移行するその企画力に惹かれていました。
実際のオーディションはどうでしたか?
罵倒って、『負の感情』をどうやって『エンタメ』に転換できるかってところがミソだと思うんです。うまく伝えられないけど。私はずっとバンド活動をしていて、歌詞を書いたりもするんですけど、負の感情をエネルギーに歌詞を書くことが結構あるんですね。なんとなく、同じ脳みその回路で、『罵倒』もできる気がする、ってことに、オーディションを通じて気づきました
でも、お客さんて初めて見る人ですよね。パーソナリティが分からないから、ディスるって言っても、『見た目』とかになっちゃいません?
そうなんです。そこ難しいですよね!たとえば、髪の薄い人にたいして『ハゲ』って言っても、そもそも失礼なだけで面白くないんですよね。研修ではみりちゃむさんもこられていて、いろいろ大切なことを教えてもらったんですが、『相手を傷つけない罵倒』をすることが大切ってことも教えてもらいました。例えば、ハゲを『天使の産毛野郎』って言い換えたら、相手にも失礼じゃないし、ただの罵倒から、エンタメの罵倒に切り替わると思うんですよね!
2:和中みらいさん
高校時代のインドネシア留学を強みに、インドネシア語でYouTubeで発信を続ける和中さん。今年の3月まで事務所に所属していたが、現在はフリーで活動しているという。俳優業をベースに、芸能活動を行っている。
なぜ罵倒ガールに応募しようと思ったんですか?
もともとNOBROCK TVが大好きだったんです。罵倒カフェもYouTubeでよく見ていて、みりちゃむさんの罵倒を見ていて、私もやってみたいなと思いました。私は基本的に俳優業を志しているので、『役になりきる』のが好きなんですよね。みりちゃむさんの動画を見ていて、私はこんな風に罵倒は出来ないけど役としてなりきってなら出来るかもな、私も勉強したいと思って、オーディションに参加しました。
研修ではみりちゃむさんが来られたと聞きました。どんな印象を受けましたか?
本当に勉強になりましたね。みりちゃむさんの研修で一番印象に残っていることは、『罵倒は“対話”だ』っていう教えです。結局は、罵倒という特殊なツールを使って、お客さんとコミュニケーション(対話)をするだけなので、基本的に、失礼があってはいけない。罵倒という失礼になりそうなことを、失礼にならないように、ただの悪口にならないように昇華する、っていうことを教えてもらいました。
3:ペピさん
大学卒業後、OLやヘアモデルを経て、現在はレースクイーンの活動や、個人的なSNS活動を積極的に行っているというペピさん。スペインとのハーフである。
なぜ、罵倒ガールに応募しようとしたのですか?
『言いたいことが言える』っていうので、楽しそうだな、という印象がありました笑。それに私は将来的に、バラエティにも出られるタレント・モデルになりたいと考えています。そういう意味で罵倒カフェは、とてもいい学びの場になると思ったんです。罵倒に大切なのって、センスのいい言葉選びと反射神経だと思ってて、その練習という意味でもとてもいい機会を得られたと思っています。
今回の罵倒カフェ、何人もの女性がオーディションをきっかけに集まって、チーム体制を組んで仕事をするってとても大変そうですけど、実際どうですか?
確かに、みなさん個性豊かな方が多いですよね笑。でも、やりにくい、とかは感じないかなぁ。みんな協力して、この罵倒カフェっていうプロジェクトをやりきろうっていう想いみたいなものがあります。第二弾があれば、またぜひとも参加したいですね!!
ペピさんを始めとして罵倒ガールたちが気持ちよく働ける空間を作り出しているのは、前述したキャリアカウンセラーの久保内さんだ。
まず、このプロジェクトにキャリアカウンセラーの方が入っていることが驚きでした。チーム組成はやっぱり大変でしたか?
いや、やっぱり知らない女の子が集まってチームを作るって、けっこう大変ですよ。最初はレアゾンの山野さんから『どうしたらいいですかね?』っていうめちゃくちゃオープンクエスチョンで相談が来たんです。そもそも私、いつもは企業のキャリアカウンセラーなので、当然『罵倒』に関しては素人です笑。でも、企業のチームビルディングのために、グループワークをすることもよくあるので、それを転用できるんじゃないかな、と思ったんです。そもそも私はゼロからイチを作り出すのが好きなので、罵倒カフェのコンセプトを理解して、どうしたら、集まった女の子たちの協力体制を作りだせるかを考える作業は、とても楽しかったですね。
言葉のセンスや瞬発力とかも個人差あるでしょうしね
そうなんですよね、実はここだけの話、言葉のチョイスに関しては、ある程度『使いまわしOK』にしてるんです。頭髪の薄い人に対する言葉で、相手を傷つけずに、かつエンタメに昇華できる言葉ってそんなにないじゃないですか。それを見つけるグループワークを行いました。講師やスタッフ側が『こういう言葉を使え』と命令したりするのではなくて、自分たちのグループワークで導き出した言葉を使うっていうことが重要だと思ったんですよね。そして、その過程でチームビルディングもできてきたと思っています。
まとめ
そもそも、NOBROCK TVチームは、この罵倒カフェリアル店舗プロジェクトを「ファンサービスの一環」として捉えている。収益度外視の企画なのだ。じゃないと、たった10日のポップアップイベントに、こんなに時間とお金をかけられるわけがない。第一弾は9月23日で終了してしまったが、第二弾、第三弾の可能性もある。NOBROCK TVのファンの皆様を始め、日本の新しいエンターテイメントの形を体験してみてはいかがだろうか。
佐久間宣行のNOBROCK TV
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