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2024.11.21
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Designship2024レポート

ビジュアルコミュニケーションユニットが創り出すレアゾン・ホールディングスのデザインとは

2024年10月12日、13日の両日、一般社団法人デザインシップが主催する『Designship 2024 』が東京ミッドタウン ホール&カンファレンスで開催されました。「広がりすぎたデザインを、接続する」というテーマを掲げたイベントには、GMOインターネットグループ、リクルート、ソニー、KDDI、LINEヤフー、DMM.comなど多数の企業がスポンサーとして参加しました。レアゾン・ホールディングスからはビジュアルコミュニケーションユニットがブースを出展。レアゾン・ホールディングスが自社や新規事業のブランディングにいかにデザインを活用しているか、その取り組みや考え方を発信しました。この記事ではステージで行われたセッション、パネルディスカッションの内容を中心にカンファレンスの模様をお届けします。

山口暁亨

ビジュアルコミュニケーションユニットVP アートディレクター

福岡から上京後、WEB制作やブランディングを行うクリエイティブエージェンシーに入社。社内ベンチャーとして映像とデザインを軸としたチームを立ち上げ、音楽、化粧品、ファッションを中心としてアートディレクションに従事。2023年レアゾン・ホールディングスに入社し、ビジュアルコミュニケーションユニットを発足。現在はホールディングス全体のブランディングやデザインを監修、新規事業のブランディングなどを行う。

首藤舞央梨

ビジュアルコミュニケーションユニット ディレクター・UXデザイナー

佐賀大学大学院地域デザイン研究科映像デザイン専攻修了後、2023年4月株式会社レアゾン・ホールディングスに新卒入社。デザイン部ビジュアルコミュニケーションユニットにて、ディレクター、UXデザイナーとして、ホールディングスのブランディング業務や新規事業のデザイン業務に従事。


カフェ風のブースとワークショップで来場者をおもてなし

世のあらゆるものに欠かせないデザイン。『Designship』は、その広範囲に渡るデザインをひとつに接続しようという年に一度のデザインの祭典です。毎年、デザイナーやデザイナー志望者、デザインに興味を持つ大勢の人で賑わっています。2日間の開催期間に行われるセッションは約80。最前線のデザインを学ぶにはまたとない機会であり、協賛企業にとっては自社のデザインに対する取り組みを発信する場となります。

今回、レアゾン・ホールディングスを代表して参加したのは、2024年にWEB部から名称変更したビジュアルコミュニケーションユニットです。メンバーはディレクター、エンジニア、デザイナー、アニメーターなどのクリエイターが中心。このカンファレンスでは会場に拠点となるブースを出展、ホールで行われたトークセッションにはメンバーの中からユニットを率いる山口暁亨氏とディレクター兼UXデザイナーの首藤舞央梨氏が登壇。デザイナーとしてレアゾン・ホールディングスで働く意義やビジュアルコミュニケーションユニットの社内での役割についてそれぞれ語りました。

2日間を通じて情報発信の場となったのは、「街角にある小さなカフェ」をイメージしたブースです。ビジュアルコミュニケーションユニットでは、来場者に気軽に立ち寄ってもらい、クリエイティブな会話を楽しみながら共に何か新しいものを創り出す場を提供したいと考えました。

そこで用意したのがカフェ風のメニューを使った新規事業のワークショップ。
これはブースに来訪されたお客様にカフェでコーヒーの種類を選んでもらうように、メニューの中にある新規事業の種類を選んでいただき、どんなプロダクトを制作したいかイメージしてもらおうというものです。

ワークショップの流れは以下の通り。

①メニューの中にある23個のアイコンの中からデザインしたい新規事業や興味のある事業分野を選択(事業例:レストラン、ファッション、スクール、ゲーム、本屋、映画・アニメ、雑貨、お菓子、車、美術館など)

②選んだ事業に合わせて、作りたい制作物を選択(例:映像、ロゴ、WEBサイト、冊子など)

③新規事業や制作物をどんなイメージのものにしたいのかキーワードやカラーを選択(例:かわいい、シャープ、優雅、ワイルドなど)

④新規事業のキャッチコピーを入力(例:みんなスマイル)

⑤お会計。ID、QRコード付きのレシートを発行

⑥発行されたレシートのQRコードをスマホで読み取る

⑦スマホに表示されたカフェのアニメーションにレシートに刻まれたIDを入力

⑧生まれたての新規事業のキャッチコピーと自分オリジナルのお洒落なカップが表示

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⑧で表示される画面はビジュアルコミュニケーションユニットのサイトにもリンク。ドリップコーヒーのノベルティなどと合わせて、遊び心に富んだ仕掛けを多くの人に体験してもらうことができました。

実際にブースに来てくださった方が作ったコーヒーは以下のサイトで見ることができます。

デザイナーとして活躍できる事業環境がある

カフェブースが賑わういっぽう、ホールで行われたセッションも盛況でした。

初日のセッションに登壇したのは首藤氏。新卒で入社して現在は2年目という首藤氏はビジュアルコミュニケーションユニットのなかでディレクター、UXデザイナーとして業務に従事しています。ホールディングス全体で100名以上のデザイナーが在籍しているなか、ビジュアルコミュニケーションユニットはどの事業部にも入らず、ホールディングス直下のデザイン部として位置づけられています。

首藤

私たちビジュアルコミュニケーションユニットの仕事は大きく分けると2つあります。ひとつはホールディングス全体のコーポレートブランディング。自分が担当している案件でいいますと、会社案内資料だったり、会社紹介の動画、会社のカルチャーやメンバーのことを発信するオウンドメディア、新卒の方を紹介する特設サイトなどがそれに当たります。こういったコーポレートのブランディングをどのように発信していけばいいのか。トンマナの作成からデザインのアウトプットまで、一気通貫で行っています。

もうひとつの大きな業務はレアゾン・ホールディングスの得意分野である新規事業。首藤氏は入社以来、3つの新規事業に携わってきました。

3つのうちのひとつがブランディング事業GIFTech(ギフテック)です。

首藤

GIFTechはテクノロジーを使ってモノ創りを楽しむ才能を育むプロジェクトです。私たちのユニットではプロジェクトの立ち上げ当初からブランディングのデザインに携わり、トンマナの作成、イベントの企画運営、映像の配信、ウェブサイトやノベルティの制作など、事業全体のブランドデザインを手がけています。

GIFTech(GiftedとTechを掛け合わせた造語)とは「テクノロジーとモノ創りを楽しむ才能」を表す言葉。このプロジェクトではアカデミーや次世代型ハッカソンを通じて、仲間とともにプロダクトやサービスをゼロから開発するためのアイディアや技術を深掘りし、その体験から個々のクリエイターの才能を伸ばそうという取り組みを行なっています。クリエイターを大切にするレアゾン・ホールディングスならではの事業といえるものです。

首藤

2つ目はペットIoT事業のmirutoです。こちらはGIFTechのように最初から加わっていたわけではなく、事業がある程度軌道に乗った段階で、より良いユーザー体験を提供することを目的にビジュアルコミュニケーションユニットがアサインされました。途中からの参加ということもあり、まずは事業部のメンバーにどういったブランドにしていきたいのかヒアリングをし、皆さんの意見を取り入れたデザインとトンマナの作成を行いました。具体的にはユーザーの皆様のタッチポイントとなるECサイトのデザインなどを担当しています。

3つ目の事業は、現在、開発段階にあるtoB向けプロダクトの新規事業。この事業では発足段階から参加し、ユーザーのリサーチやカスタマージャーニーマップの作成、プロダクトの設計全体に至るまで一連の作業を行なっています。

会社がクリエイターの集団であるビジュアルコミュニケーションユニットに期待しているのは「デザインという視点から事業を前進させていく」こと。実際に業務に従事している首藤氏は「デザイン視点でできることがたくさんある」「裁量が大きく分野を超えた業務に参加できる」「自分の考えがダイレクトに業務に反映される」点などに大きなやりがいを感じていると語ります。 

首藤

学生時代、就職活動をしていたときは、世の中をより良く変えるようなモノ創りや事業をゼロイチから立ち上げるにはデザイナーよりもビズデブ職や企画職の方がいいのかもしれないという不安がありました。しかし1年半働いてみた現在は、デザイナーでよかったと心から感じています。

「ちょっと好き」が紡ぐ心を揺り動かすデザイン

この他、初日は「感情を喚起するブランディングデザイン」と題したパネルディスカッションにビジュアルコミュニケーションユニットVPの山口氏が登壇。モデレーターの田島佳恵氏(一般社団法人デザインシップ/株式会社MIMIGURI)の進行のもと、ともに壇上に上がった株式会社タイミーの太田賢一氏、株式会社モリサワの貫真由氏の3人で、いかに見る人(ユーザー)の感情に訴えるデザインを生み出すか、ディスカッションを行いました。

ここで山口氏がキーワードとして口にしたのは「ちょっと好き」の気持ちでした。

山口

例えばウェブサイトをユーザーさんに見てもらって、いきなり大好きになってもらうということは現実的には難しいと思うんです。でも、ちょっと好きになってもらうことならできます。

恋愛と一緒で、一目惚れというのはハードルが高い。いきなり大きい好きを狙うのではなく、小さい好きをたくさん獲得する方が、実は近道だったりする。「ちょっといい」「ちょっと好き」を積み重ねていく方が、ブランディングとしては設計しやすいと山口氏は語ります。

山口

実際に誰かと付き合う場合も、小さい好きをたくさん積み重ねていって、最終的に大好きになり、好きな方と付き合うということはよくあるんじゃないでしょうか? 少なくとも一目惚れよりは可能性は高いなと思っています。

例に挙げたのは、mirutoのウェブサイト。飼い猫とその飼い主のための全自動スマートトイレやモニタリング自動給水器、見守り自動給餌器などを提供しているmirutoのウェブサイトは、随所にかわいい猫をあしらったアニメーションが散りばめられた遊び心のあるデザインが特徴です。

山口氏は「完璧なものよりはちょっと穴があるようなデザイン。ちょっと好き、と言ってもらえるようなもののほうがとっつきやすいし、このちょっと好きをいくつも整えていくことで見る人の感情を喚起することができるのではないでしょうか」と語ります。

パネルディスカッションでは「感情の言語化」についても言及。見える化しにくい人の感情をどう言語化していくか。山口氏にはレアゾン・ホールディングスのブランディングにおいてこの感情の言語化に取り組んだ経験があります。

山口

弊社に限った話ではなく、事業会社は事業そのものを優先してブランディングは二の次になってしまうことが多いのですが、メンバーの感情を言語化してアウトプットすれば、みんながより同じ方向を向いて事業を進めていくことができるようになります。そこで弊社ではワークショップを開いて、社員がどんな気持ちで仕事をしているのかを見える化してみました。

ワークショップから見えてきたのは、社員の多くに共通する「ベンチャーマインド」でした。このマインドが情熱やスピード感となって事業を推進させているのです。これが見えれば、あとはどうビジュアルに落とし込んでいくか、ここから先がデザイナーの仕事なります。

01/03

新規事業をデザインするためのマインドとスキル

2日目のセッションは山口氏が担当。山口氏は2023年にレアゾン・ホールディングに入社するまでは、クリエイティブ・エージェンシーでアートディレクションに携わってきました。セッションでは、制作会社から事業会社に移ったことで何が変わったのか、新規事業をデザインする上でのマインドとスキルについて話しました。

 制作会社時代は仕事を受注し、制作し、納品すればそこでその案件は終了。しかし、事業会社ではそうではなく「むしろ納品してからがスタート」となります。

山口

まず変わったのはマインドです。制作会社時代は新規事業を外から見る立場でしたが、事業会社に来てからは中の人になりました。そこで感じたのは、やはり中の世界から見える景色というのは全然違うということです。何が違うかといえば熱量が違う。焚き火に例えるなら燃え上がる炎を間近で見ている感じです。最前線にいることでヒリヒリするくらいの熱量を感じますし、自分自身もそういったマインドを持つ必要があります。

 制作会社時代は仕事を受注し、制作し、納品すればそこでその案件は終了。しかし、事業会社ではそうではなく「むしろ納品してからがスタート」となります。

山口

ローンチしたら事業を拡大し、成長させていくマインドが事業会社のデザイナーには求められています。

もうひとつ、山口氏が事業会社に来て学んだものは「新規事業の立ち上げには正解がない」というマインドでした。

新規事業を行うには仮説検証やユーザーインタビューなど、時間をかけてさまざまな準備を重ねます。ただ、誰もやったことのない事業である以上、それが正解かどうかはスタートしてみるまでわかりません。いっぽうで事業とは不思議なもので「たった1日で考えたものが意外とヒットしたりする」こともよくあったりします。

山口

ただ、そうした正解にたどり着くには、毎日、自問自答を繰り返して、自分のアイディアを絞り出していく必要がある。そういうマインドが必要です。

さらに大切なのは「完璧を求めないというマインド」です。

山口

僕を含めクリエイターというのは、いちばん最初に完璧なものを見てもらいたという気持ちが働くものですが、事業会社ではその完璧を常にアップデートしていくという感覚が不可欠です。

アップデートを繰り返すことで、自分の中でも新しい答が見つかっていく。こうしたマインドが重要だと山口氏は説きます。

では、事業会社のデザイナーにはどんなスキルが求められるのでしょうか。 

山口

ひとつはビジネス視点のデザイン力。ここで必要なのは観察力です。実作業としてのデザインは日々の業務の中でスキルアップしていけるものです。しかし、観察力については普段から自分に意識づけをしていないと身につきません。例えば、砂漠で青い鳥を見つけようとしたらすぐに見つけることができるけれど、それが東京の街中だったらどうでしょう。物や色や情報が氾濫しているなかではなかなか見つけることができません。そこを最初から自分は青い鳥を見つけたいんだと意識し、街を観察していれば、意外とすぐに見つけることができたりするものです。観察をしていれば、よりディテールに気がつく。観察し、分析し、デザインする。これが僕が考えるビジネス視点のデザイン力です。

これにプラスして大切になってくるのが「ビジュアライズ」です。

山口

新規事業ではビジュアルデザインを早めに出すことが事業の前進につながります。

ゼロイチで事業を始めるときは誰もが不安なもの。しかし、そこに「何かひとつでもいいから具体的に目に見えるもの」があるだけで安心が生まれる。今回の『Designship 2024 』でビジュアルコミュニケーションユニットがカフェ風のブースを出展したのも、根底にはそうした理由があるからといいます。

山口

カフェを出すのにカップをデザインしたり、ロゴを作ったり、ビジュアルがある方が楽しいし、ワクワクやドキドキ感が生まれます。同じお話をするにもそうしたビジュアルひとつひとつを見ながら思いを語っていくほうが相手の方にも伝わりやすいと思います。

今回のブースはすべて手作り。ビジュアルコミュニケーションユニットでは日常の業務でもフリー素材などは使わずに必要なものはすべて自分たちの手で作っています。「デザインに必要なものはなんでも作る」というモノづくりへのこだわりが部署全体のカルチャーとなっているのです。

01/04

まとめ

2日間に渡ったイベントには数千人のデザイン関係者が来場。ブース展示やセッションを通じ、多くの方々にレアゾン・ホールディングスの考えるデザインについて知ってもらえる機会となりました。

山口氏、首藤氏にはイベント参加の感想を聞いてみました。

首藤

これまで一般として参加していたDesignshipにブース出展、登壇まで参加させていただき、とても学びになる3ヶ月間でした。イベントの2日間で多くの方にレアゾン・ホールディングス、そして、ビジュアルコミュニケーションユニットのことを知っていただけたかと思います。

ビジュアルコミュニケーションユニットは1年半でメンバーも業務領域も大きく拡大しました。今後も会社の成長と共に、ビジュアルコミュニケーションユニットで良いデザインをしていきたいです。

山口

登壇後、SNS上や参加したイベントで多くの方から「ブースのデザインやノベルティの完成度の高さ」「登壇の内容」などを話題にして頂き良い反応を頂きました。名刺をお渡しする際も、登壇を拝見しましたというお声がけも沢山頂いてます。レアゾン・ホールディングスの名前を知ってもらうきっかけになったイベントでした。ただ、まだまだ始まったばかりです。ブランディングは一日では成りません。今後もデザインやクリエイティブに強い会社として認識して頂けるように、引き続きこういう活動を継続していきたいと思っています。普段の業務と並行しての作業は大変でしたが、多くの方の協力があり実現することができました。ありがとうございました。

今回制作したブースやノベルティの詳細はビジュアルコミュニケーションユニットが運営するブログサイトに掲載予定です。

今後も更新予定なので是非遊びにきてください。

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EXTERNAL WRITER / JUNICHI NAKANOWATARI

1989年生まれ。転職サイト「Re就活」のWebディレクター・ライター・マーケターとしてキャリアをスタート。転職市場に関する記事の執筆やWebサイトのクリエイティブディレクション、プロモーション運用、システム開発、フライヤー・販促資料作成などに従事。その後、フリーライターとして人材関連からIT、グルメや旅行まで幅広いジャンルで記事を執筆。

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1989年生まれ。転職サイト「Re就活」のWebディレクター・ライター・マーケターとしてキャリアをスタート。転職市場に関する記事の執筆やWebサイトのクリエイティブディレクション、プロモーション運用、システム開発、フライヤー・販促資料作成などに従事。その後、フリーライターとして人材関連からIT、グルメや旅行まで幅広いジャンルで記事を執筆。

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